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戦争と言う脅威の中で生きるとはどう言うことなのかを知るー映画・本「永遠の0」感想

私はこの本がとても好きなんです。
この本の発売当時、私は本屋でバイトをしておりました。

レジで何冊もこの本を売っているうちに気になって買って一気読みしたのを覚えています。
読み終わってそりゃ売れるわと納得してしまいましたね。

 

 

けれど、実写映画になった際にキャストが発表されて主役が岡田准一さんと知ったときは「違う」と思ってしまいました。

松野も井上真央さん...少し違うしうーん。、という感じでした。

 


宮部さんはもっと背が高く恰幅のよい、四角い顔で薄顔のイメージでした。

真逆ですよ岡田さん。
けれど映画を観て十分宮部さんでしたね。

すごい。

ラストの特攻へ向かう芝居は迫力があって怖かったです。

 

死に様=生き様に通じてると言われていますが、それを真に表しているような作品でした。

 

宮部さんが家族のために生きる、強い生き方で妻の松野をそれをみてきた仲間や後輩はみんな気にして助けにいく。

そして血の繋がった孫に出会えたことを心から喜ぶ。

まだ残った方達の中の宮部さんは生きているんですよね。

そう思うと涙が止まらない映画となりました。

 

同時に、ゼロ戦という戦闘機に関しての知識も得れたのはとても良かったように思います。

同時期に宮崎駿監督の引退作品として「風立ちぬ」が公開されていました。

この映画は、零戦のデザイン、および設計した人間が主人公となっています。

 

主人公はより良いものを作ろうとしただけであるにも関わらず人殺しの道具になっていく愛しい

作品たち。

漫画「ワンピース」の中のフランキーが出てくるエピソードでも似たようなことが出てきたことがありますね。

 

「生きているだけで罪にはならない。生きて何をしたかで罪になる」

「生みの親くらい愛してやらなきゃこいつらが可哀想だ」

 

この「永遠の0」は、「風立ちぬ」での主人公が自分自身の思いとは違う形で羽ばたいていった作品たちのその後の姿を見ているような、意図せずリンクしている作品だなと感じます。

 

そいうった制作者と使い手の思いを見れる映画ではないでしょうか。

 

 

この映画のエンドロールに『In memory of』という欄にお二人の名前があるんですね。

これは作品に関わった方で亡くなられた人を偲ぶものですね。


お一人はこの映画を最後に亡くなられた俳優さんですね。

ご病気だったのかどうか分かりませんが年齢もいいお歳だったように思います。


ただもう一人はこの映画で美術部のスタッフをされていた方です。

芝生の除草中か、滑走路の採寸中か、どちらか分かりませんが飛行機の着陸ミスで事故で亡くなられました。

即死だったようです。

 


この話を知ったのは「海賊とよばれた男」の制作が決定されたときでした。

スタッフは永遠の0と海賊とよばれた男は一緒なので、この事故があったため海賊とよばれた男では飛行機は飛ばせないことになったそうです。


そりゃそうですよね。

その亡くなられた美術部の方はとてもよい人だったようで、いまだに映画の美術の世界の方達はその方を偲んで涙を流すことがあるそうな。


偶然でありますが、この亡くなられた方と映画の宮部さんがリンクしているようでいつこの映画を観ても胸が締め付けられる思いがします。


アカデミー賞取れたことは素晴らしいことですが、よかったのか複雑です。
ご冥福をお祈りします。まだまだ映画の美術の世界で彼は死んではおりません。